メタノール
メタノールも古くから内燃機関の燃料として利用されてきた。自動車用燃料としてはメタノールにベンゼン(ベンゾール)を混合したものがレーシングカーに用いられ、フォーミュラ1でアルコール燃料が禁止されたのは1958年のことであった。20世紀後半についてみると、メタノールは、インディ?レーシング?リーグで1960年代半ばより2005年まで使用されたほか、現在でも一部のドラッグレースで利用されている。太陽光発電 設置 もっとも、メタノールはエタノールと比較して代替燃料としての脚光を浴びることは少ない。これは、メタノールの生産が現時点では主として天然ガスなど化石資源を原料としており、有限資源の消費回避という面では利点が乏しいからである。また、メタノールはエタノール以上に熱量が小さく、腐食性が強い上に、揮発性が高く有毒物質である点も問題となる。 もちろん、ガソリン代替燃料という観点からみれば、メタノールは、天然ガス、石炭あるいは酸素製鉄排ガスからも低コストで大量に製造可能である点でエタノールよりも優れている。また、その毒性や揮発性もガソリンと比較すれば大きな問題とはいえない。さらに、バイオマスからメタンを効率的に生産することが可能になったり、メタノールを効率的に生産できる微生物が発見されるなど、バイオマスからのメタノール生産が実用化されれば、メタノールもバイオ燃料として脚光を浴びる可能性がある。
近年の原油価格の急激な上昇によって代替エネルギーの導入が急務になっているが、コスト競争力でもっとも優れているのは、CNG(圧縮天然ガス)とメタノールであるといわれる。石油は中東地区に偏在しているが、天然ガスはシベリアに(中東の石油埋蔵量全体に匹敵するほど)膨大な埋蔵量があり、また世界各地に膨大な量のメタンハイドレートが存在するため、OPECの価格支配力を弱めるためにも、メタノールやCNGの自動車燃料への導入の必要性は高い。コスト競争力の面では廃糖蜜利用など廃品利用の製造工程でない限り醸造エタノールはメタノールより高価につくために、現時点でエタノールを推進すれば価格差分は国家が補助金/減税で負担せねばならなくなり財政赤字に悪影響を及ぼすという意見もある。 エタノール醸造コストが安価か、メタノール製造コストが安価なのかは慎重な検討を要するといえよう(つまり、メタノールを使用しつつ、浮いた資金で砂漠の緑化?穀物生産をしたほうが安価で食糧増産に役立つかもしれない)。 なお日本ではメタノールとガソリンの混合燃料の実用化試験が先行しており1980年代から行われて、成功を収めている。しかし研究推進母体が石油連盟であり、石油精製各社はメタノール製造設備を持っていないこともあって大規模な流通に至っていない。http://j-contents.jp/nagare なお、1990年代末には韓国からの輸入品として天然ガス由来のメタノールが主成分とされるガイアックスが、全国の無印スタンドレベルの小販社を介して販売された時期があったが、既存税制の範疇に含まれない税制面の問題や自動車部品に対する安全性などの問題などが提起され、僅か数年の間に業界団体や末端ユーザーまで巻き込んだ論争を引き起こし、業界団体側はガイアックスを名指しする形で高濃度アルコール燃料として大規模な使用自粛キャンペーンを行った上に、2003年の政府の揮発油等の品質の確保等に関する法律の改正により正式に国内販売が禁止される事態となった。前述の「アルコール濃度3%(E3)が安全性を確保できる上限」という基準はこの法律の改正の際に策定されたものであり、皮肉にもこの一連の事態が尾を引く形となって、バイオエタノールが世界的に話題となった2000年代後半に至ってもE3以上のエタノール混和燃料の開発販売は日本国内では殆ど進む事はなく、加えて石油連盟のメタノール混和燃料の開発販売の道も事実上閉ざされる事になった。